作家、渡部萌さんが自ら森に入り、採集したくるみの樹皮で作られるかご。
樹皮を加工できるように加工や乾燥を経て、手編みをされているアイテムです。
渡部さんの置きかごは、手間を惜しまず、伝統的な作り方と共に模様や形に工夫が凝らされています。
2023年に渡部さんに納品いただいた置きかごは、若干小ぶりで使いやすく持ち運びやすい直径18cmほどのサイズ。
くるみの樹皮が表と裏で色が違うことから、その違いを楽しめる手編みかごとなっています。
▲白
▲白黒
▲黒
毎年夏前にくるみの樹皮を東北にまで採集しに行っている渡部さん。
自然と共存するために、無理なく取れた分だけの材料で製作されるのでたくさんは作れないし、渡部さんの新しいアイディアで作られるものも年々変化しています。
新たなものに目を向けたくなれば、また違うものが入る可能性もありますし、また同じものを作っていただけることもあるかもしれない。
できるだけ、作りたいものを作っていただきたいと思っているので、結構若干作るものをお任せしていたりします。
そんなこともあり、渡部さんのアイテムは一期一会なものが多いんです。
渡部さんのかごは、細部まで配慮が細かくて
丁寧な物作りが伺えるんですが、
一番の素敵だなと思うのは、異素材の紐類を使わず、くるみ樹皮を細く切って紐とされているところ。
全てくるみの樹皮で作られてるのがとっても粋なんです。
結び目は目立たないよう、
でも丁寧にしっかりとくくられています。
くるみの樹皮は、表面と裏面で
色が真逆となっていて、
その特徴を渡部さんは最大限に活かされています。
樹皮の表面の明るい色を白、裏面を黒とし、表裏を変えて編むことで表情がガラリと変わります。
同じ素材でもこうして変えることで、伝統的な技術に新たな風合いを加えられているんです。
質感も違っていて樹皮の表面はザラザラだけど、裏面はツルツル。
通気性も結構あり、樹皮ならではの防虫性もあった使いやすい道具です。
手作業で製作されるくるみ樹皮のかごはとても頑丈で、でもとても温かみがあります。
香りも手触りもどこか懐かしい、そんな質感です。
自然と対話しながら生み出される渡部さんのかご。知らず知らずのうちに癒されます。
▲底面は四角になっています。