神奈川県で作陶される植田佳奈さん。
彼女の作品といえば、「象嵌」という特殊で緻密な造形が特徴です。
陶土でかたどった土の塊を彫って、ひたすら黙々と模様や線を彫っていく。という斬新な手法で作る植田さんの象嵌。
彫っていくと言っても、とても細い線なので、工具を押し当てて跡をつけていくという作業をされています。
植田さんの作品は一輪挿しが
最もポピュラーなのですが、
とても作るのに苦労がかかるもので
お値段も、0ひとつ増えちゃうので、
もう少し手に取りやすいもの&個人的に刺さりすぎた小ぶりサイズ感のものを貝イメージで製作いただきました。
模様は2種ありまして、線模様と、まだら模様を作っていただいています。
線模様は掘るのに1個40分ほど、まだら模様は1時間ほどかかるそう。
眼精疲労ひどめな私にとって、それはまるで修行かと思う所業です。
工程としては、成形、乾燥、素焼き、色付け、本焼き、仕上げのやすりを施して完成するのだそう。
時間としてはおよそ2週間かけて完成となります。
▲線
▲まだら
作業をされている植田佳奈さんのアトリエには、
本物の石ころや葉っぱなどが置いてありました。
限りなく、自然に近いものを作りたいという植田さんは、葉の葉脈やよく見ると無数の線の構成になってる手にひらを見て、線を細かく、彫っていくと段々と有機的なものに近づいてくるのだとおっしゃっていました。
黙々とした作業は嫌いじゃなくて、むしろ好きらしく、どんどん突き詰めて細かくなっているそう。
まだらとか、線の細かさが
すごくないですか?
貝のようでもあり、
動物の毛並みのようでもあり。
反対側からハリネズミの顔がピョコっと出てくるんじゃないかという錯覚に陥ります。
引きで見ると、線が表面に描かれているだけのようにも見えますが、表面が柔らかな陶土に跡をつけてから焼いているので、
段差というか、押し当てた時のプニっと感が
若干残っていて。そんなところも面白くて、時間をかけて作っているんだなと感慨深くなります。
オブジェとして飾ったり、重さはないけどペーパーウェイトみたいにしたり。
植田さんの作品は、いわゆる造作物とは違って、何よりも自然に近いもの。
本来では作ることができないものを作っているというのが彼女の魅力なんです。
それはとても新鮮で家の中に自然をもたらしてくれる。
気づかないうちに、癒されていく、そんな不思議なアイテムです。