香川県高松市でカトラリー作家として
活動される樫原ヒロさんのカトラリー。
「jeté」
jetéはフランス語で「ジュテ」と読み、
バレエのジャンプのひとつから、つけられています。
樫原さんはカトラリーを作る時、
「かっこいいカトラリー」
「女性的なカトラリー」
など見た目のデザインから入るのではなく、表現したいストーリーや風景をデザインとして落とし込むのだそう。
ネーミングって、それっぽいな、とかなんとなくで後から付けられることが大半だと思うのだけれど、
「jeté」という名前には、物を見ただけでは気づかなかった、樫原さんが表現したいコトがさりげなく刻まれているよう。
▲こちら側から見た時、バレエのダンスでのポーズや足の形が表現されています。
jetéは、樫原さんのSPICAと比較すると、
かっこいい雰囲気や繊細さを感じるカトラリーです。
バレエの凛とした佇まいを思わせる、
キリッとした西洋的なデザイン。
種類はスプーン、フォーク、ナイフの3種類となっています。
樫原さんのカトラリーはどれも日本人の骨格に合うようになっていて、
口に含んだ時にほとんど干渉せず、心地よささえ、感じられます。
スプーンもしっかりと幅があるようで、おちょぼぐちさんにも安心して使える幅感と深さという計算されたモジュールなんです。
海外ブランドのカトラリーだと大口開けなきゃいけないんだ。という方にも樫原さんのカトラリーならそんなお悩みはゴミ箱行きです。
フォークは、外に広がるようなデザインで、
パスタは巻きやすく、
ツルツルと滑っちゃうフルーツや丸っこいものなども刺しやすい。
そんな形状となっています。
もちろん、この外に広がるようなデザインでも、口に干渉して痛いなんてことはありません。
ナイフは、かっこよさをヒシヒシと感じるデザイン。
小さな歯がしっかりとついていて、切りやすく、持ち手から斜めに上がった形状となっています。
ナイフのエッジ部分をキラリとさせているのもかっこいいんです。
このナイフ、実はフォークをレストとして組み合わせることができるようになっていて、
この姿がとってもたまらなくかっこいいんです。
実は樫原さん考案ではなくて、お客様がこうして使われていたそうなんですが、もうグッジョブですよね。
食事前にこの状態でセッティングされていたら「おおおお!」ってなります。
SPICAの時もご案内しましたが、樫原さんのカトラリーは「酸化膜」がしっかりと張られています。
素材は真鍮なので、本来ならキラキラピカピカゴールドなんですが、
高熱で熱して酸化膜を張ることで、口に含んだ時の金属味を極限まで軽減し、さらに急激な経年変化を緩やかなものにしてくれるんです。
使うごとに酸化膜が薄くなったり、
逆に使うことで酸化膜が張られていく。
そうしたことを繰り返して緩やかに自分だけのアンティーク感を出していくのが樫原さんの「狙い」なんだそう。
長く愛用した先に、最初に手にした時とまた違った更に素敵な「jeté」となる。
樫原さんが作るカトラリーにはそんな未来への計らいが施されています。